葉酸のお話

葉酸とは

葉酸は、1941年にほうれん草から見つかったことからその名が付けられた栄養素で、水溶性ビタミンであるビタミンB群のひとつです。
特に、ほうれん草やブロッコリー、アスパラガス等の緑黄色野菜に多く含まれています。
また、野菜だけでなく、いちごやオレンジ、大豆などにも多く含まれています。

葉酸は、おなかの赤ちゃんの細胞分裂や成長、核酸(DNA)の形成に不可欠なビタミンであり、妊娠中は葉酸の需要量が増えます。
妊産婦さんにとっては、とても大切な栄養素です。

妊娠中の葉酸摂取推奨量

  目安量 推定平均必要量 推奨量
0歳 40μg - -
18歳~ - 200μg 240μg
妊娠中 - +200μg +240μg
授乳中 - +80μg +100μg

※日本人の食事摂取基準(2015年版)より

葉酸の吟有量

葉酸のはたらき

近年、妊娠と栄養の関係についての研究が進み、葉酸を摂取すると、赤ちゃんの先天異常である神経管閉鎖障害の発生リスクが低減できることがわかってきました。

葉酸は、体内に取り込まれるとアミノ酸の一種のホモシステインからメチオニンへの合成に作用します。
したがって、葉酸が欠乏するとホモシステインからメチオニンになる反応が進まず、ホモシステインの蓄積を引き起こす原因となります。

Topics1 葉酸と神経管閉鎖障害の関係

厚生労働省では、十分な葉酸摂取を促すため「食品からの葉酸摂取に加えて、いわゆる栄養補助食品から1日0.4mgの葉酸を摂取すれば神経管閉鎖障害の発生リスクが集団としてみた場合低減することが期待できる。」との通知を出しました。
(2000年12月28日)
胎児が成長する初期段階で形成される脳や脊髄などの中枢神経のもととなる神経管が妊娠の初期に正常に形成されず、きちんとした管の形にならないことに起因する脊髄の異常です。
妊娠中に妊婦のからだに葉酸が不足すると、赤ちゃんの運動機能に問題が生じたり、脳が正常につくられない病気の原因になると言われています。

葉酸の特性

葉酸は水溶性ビタミンで、余分なものは汗や尿によって体外へ排出されるため、体内に貯めておくことができません。
だから毎日の食事から適量を継続的に摂取することが大切です。
妊娠可能な年齢~妊娠中の女性は、栄養バランスがとれた食事を取ることで十分な葉酸を摂りましょう。

しかし、葉酸は熱に弱く、水溶性のため、ゆで汁に流れ出やすく、調理中に50%くらいが失われてしまいます。
1日に必要な摂取量を野菜から摂ろうとすると350g程度の野菜を摂らなければなりません。
20~40歳代の一般的な女性の野菜摂取量は260g前後であることを考えると、多様化する食生活の中で十分な量の葉酸を食事のみから取ることは難しいと言えるでしょう。

そこで、十分な葉酸を効率よく摂るために、厚生労働省から葉酸摂取に対する通達が出されました。

Topics2 葉酸に対する厚生労働省の取り組み

厚生労働省では、十分な葉酸摂取を促すため「食品からの葉酸摂取に加えて、いわゆる栄養補助食品から1日0.4mgの葉酸を摂取すれば神経管閉鎖障害の発生リスクが集団としてみた場合低減することが期待できる。」との通知を出しました。
(2000年12月28日)
栄養補助食品いわゆるサプリメントを利用した場合、生体内の利用率が約85%。
食事から摂った場合の生体内利用率約50%と比べて効率よく、葉酸を摂ることが出来るのです。

葉酸に対する諸外国の取り組み

日本以外の国では葉酸摂取についてどのような取り組みがされているでしょうか?
欧米各国を例に見てみましょう。

葉酸を妊娠可能な年齢~妊娠中の女性が十分に摂ると、児の神経管閉鎖障害の発生リスクが低減されることが報告されてから、欧米各国では葉酸摂取を推進する取り組みが行われました。
その取り組みのひとつとして、米国では穀物類への添加が1998年に法律で義務付けられました。
下記の写真は、米国のコンビニで販売されている葉酸が添加されたパンです。
穀物類への添加など、葉酸摂取推進の取り組みの結果、欧米各国では神経管閉鎖障害の発生頻度が急激に低減されました。

ここに掲載したのは、米国で販売されているパンで、コンビニで購入したものになります。
パンの成分表示には、しっかりと“葉酸”の明記がされています。
(※赤丸で囲んである箇所。)

日本における葉酸摂取の現状

平成28年 国民健康・栄養調査の結果では、20代の女性の葉酸摂取量は平均229μg/日、30代の女性の葉酸摂取量は平均240μg/日。
これは、食事摂取基準で定められている妊娠可能な年齢~妊娠中の1日の摂取推奨量400μgに到底およびません。

いままでと同じような食生活をしていては、妊娠中に大切な栄養を摂れません。妊娠を期に食生活を見直してみませんか?


厚生労働省及び農林水産省「食事バランスガイド」(2005年)